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「どのように子どもたちを愛するか」

2025 11/17
メッセージを読む
2025年11月16日2025年11月17日

11月16日メッセージ
小平牧生牧師
「どのように子どもたちを愛するか」
エペソ人への手紙5章21~6章4節

 子どもを愛し、育てることは親だけに課せられたものではなく、私たちすべてに与えられた大切な務めです。本日のテーマは、「どのように子どもを愛するか」ということです。私たちは自分の子どもだけでなく、すべての子どもや若者に対して責任を持つべき存在です。心を一つにして子どもたちのために祈り、彼らの人生を祝福していきたいと願っています。

 一般的に、日本人は子育てに熱心だと言われます。しかしその熱心さは、自分の子どもであるがゆえに、その子にばかり関心を向け、しつけや教育に過度な力を注いでしまうという側面もあるかもしれません。けれども、そのような愛は時に限界を迎えます。なぜなら、その愛が子どもを自分の所有物のように扱ってしまうことがあるからです。見方を変えれば、それは子どもを本当に愛しているのではなく、実は自分自身を愛しているにすぎないという場合さえあるのです。しかし、どれほど自分の子どもを熱心に育てても、それだけでは社会の未来が明るくなるとは限りません。私たちは、神の家族の一員として、社会や教会において、老若男女が共に心を合わせ、すべての子どもたちの祝福を祈り、育てていく必要があります。それは、家庭での育児だけでなく、教会での交わり、子ども食堂、放課後学習会といった地域の働きも含め、あらゆる場所で、あらゆる形で子どもたちを愛し、もれなく神の祝福に与るように導いていくことです。これこそが、私たちが心を合わせて取り組むべき使命であり、責任であると信じています。

 そのために何より留意すべきことは、すべての子どもたちは神によって愛され、尊い存在であるということです。両親に望まれて生まれてきた子どももいれば、そうでない状況の中で生まれてくる子どももいます。親のいる子もいれば、そうでない子もおり、それはキリスト者であっても同じです。しかし、どの子どもにも例外なく神の愛は注がれています。神はイエス・キリストの十字架の死と復活によって、尊いいのちの救いと祝福された新しい人生を与えてくださっているのです。それは、子ども一人ひとりが創造者なる神によって人格的な存在として造られたからです。

 私たちはよく「子どもができた」「子どもをつくる」と言いますが、子どもは「できたもの」でも「つくるもの」でもありません。いのちを授けてくださったのは神です。そして、その子どもたちの人生を祝福し、いのちを救い、完成へと導いてくださるのも神なのです。だからこそ私たちは、この事実をあらためて心に刻む必要があります。子どもを「できた」「つくる」といった人間本位の考え方ではなく、神によって生かされ、私たちに託された存在であるという理解に立ち、親としても、また教会としても、子どもたちのために仕え、導いていかなければならないのです。 私たちは弱く、限界をもつ存在です。しかし、その中で私たちに与えられている大切な務めは、子どもたちを愛することです。愛すること、そして愛されることは、単なる言葉で伝えられるものではありません。私たちが親として、一人の人間として、そして教会として子どもたちを愛するとき、私たち自身が神に愛されている存在であることを、子どもたちに身をもって示すことができるのです。

 では、私たちはどのようにして子どもたちを愛していくことができるのでしょうか。今朝のテーマの中心となる御言葉は、エペソ人への手紙6章4節です。

“父たちよ。自分の子どもたち怒らせてはいけません。むしろ、主の教育と訓戒によって育てなさい。” エペソ6:4

目次

① あなたの妻、あなたの夫を、愛することによって

 子どもを愛するために、まず大切なことは、親である夫婦それぞれが互いに愛し合うことです。この土台なくして、子どもたちに本当の愛を伝えることはできません。どれほど言葉で「愛しなさい」と教えても、それは空虚なものになってしまいます。子どもというのは、自分の両親が互いに深く愛し合っていると知るときに、他の何にも代えがたい安心と平安、そして愛の尊さ・素晴らしさを感じ取ることができます。夫婦が愛し合う関係の中に、その愛を実際に見るのです。そして、自分がその愛の中に生かされ、存在しているのだと知ることができるのです。子どもたちにとって家庭とは、人生で最も大切なことを学ぶ場所です。人生にとって大切な、愛すること、赦すこと、信じること、具体的には、助け合うこと、いたわること、優しい言葉をかけることなどを、子どもたちは両親を通して学んでいきます。

 エペソ人への手紙5章21節から読みましたが、ここでは父や母に対する教えの前に、まず「妻と夫」に対する教えが記されています。これは、夫婦の在り方がすべてに優先するということを示しています。良い夫である人が良い父になり、良い妻である人が良い母になります。夫婦としての姿勢を抜きにして、良い父母になることはできません。しばしば、子どもが与えられ妻が母となると、夫婦としての関係が後回しになってしまうことがあります。しかし、どれほど年月が経ち年を重ねても、私たちは夫であり、妻であることを忘れてはならないのです。父や母という役目は、子どもが巣立てば終わることがありますが、夫婦であることは生涯変わることがありません。最後に残るのは、夫であり妻であるという関係なのです。 もちろん、私たち夫婦は不完全で欠けだらけの存在です。しかし、だからこそ子どもたちにとって現実的な模範となることができます。もし完璧な父や母であれば、かえって手本にはなりません。弱さがあり、失敗があるからこそ、その中でどのように神から助けを得て、前を向いて歩んでいくのかを示すことができます。
失敗や間違いがあるからこそ、罪ある私たちは神の前で悔い改め、赦しをいただき、愛し合って生きていくことができるのです。

 個人的な話をさせていただきます。私は、自分の父の姿を通して、父としての在り方を学びました。父親は一人しかいませんので、それ以外の父親像を知ることはできません。しかし、夫としての姿については、これまで自分自身が父の立場で直接見てきたわけではありません。つまり、私の父は父であると同時に、母に対する夫でもありましたが、夫としての父の姿は母からの話でしか知らず、実際にはよく分からないのが現実でした。そのことに気づいたのは、結婚してからのことです。ですから、私は夫であることの喜びや難しさを、もっと子どもたちにリアルに伝える必要があると考えています。夫であることを抜きにして父として振る舞い、妻であることを抜きにして母として過ごすことは不完全であり、子どもたちにとっての模範にはなりません。

 私たちは、自分の弱さや足りなさの中にあっても、すでに神の愛と恵みを知っています。だからこそ、その愛と恵みを子どもたちに伝えていくべきだと思います。子どもたちの祝福を祈りながら、もし神の愛と恵みを伝えないのであれば、それは親としての務めを果たしていないと言えるでしょう。さらに付け加えるなら、私たちの教会における教会学校や子ども食堂、放課後学習会といった働きも同じです。聖書の御言葉を学び、共に遊び、勉強し、おいしい食事を囲むことは大切ですが、それだけでは子どもたちが「神に愛され、恵みを受けている」ということを知ることはできません。むしろ、そのような活動の中で、私たちが互いに愛し合う姿を示すことこそが、その働きに真の意味を与え、教会の在り方を形作るのだと思います。

“キリストを恐れて、互いに従い合いなさい。妻たちよ。主に従うように、自分の夫に従いなさい。…夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自分を献げられたように、あなたがたも妻を愛しなさい。” 5:22,25

② 父親として、母親として、自分が成長することによって

 私たちが子どもたちのためにすべきことは、単に子どもたちを育てること以上に、自分自身を育て、成長することだと思います。子どもが与えられたからといって、その瞬間に親になるわけではありません。これは結婚も同じです。結婚したからといって、その日から夫や妻になるわけではありません。立場上はそうかもしれませんが、実質的にはゼロからのスタートなのです。子どもが与えられたときから、私たちは父として、母としての成長を始めます。これまでの経験や知識から学んできたことがあったとしても、そこから新たにスタートするのです。しかし残念なことに、このことを勘違いして、すでに父や母であるかのように振る舞う人もいます。中身が伴わないまま、子どもを無理に育てようとしてしまうのです。その前にまず、私たちは父として、母として、さらにその前に夫として、そして何より神の子どもとして成長していくことを目指さなければなりません。もちろん、親の立場に立てば、子どもを養い、教え、育て、叱り、鍛えることも必要です。しかし、聖書に「主の訓練と教訓によって育てなさい」とあるように、その前に私たち自身が主の訓練と教訓によって育てられる必要があります。また、「あなたがたの子どもを怒らせてはなりません」ともあります。そのためには、まず自分自身が自分の怒りを制御できなければなりません。自分の怒りをしっかり制御できる親だけが、子どもを怒らせないように導くことができるのです。自分自身を整えることなく、子どもを正しく導くことはできません。ですから、私たちが子どものためにできる最も大切なことは、神の前に自分のありのままをさらけ出し、御言葉によって自分を育て、心と霊を成長させることです。神の御言葉を聞き、互いに交わり、愛し合うこと。私たちはあらゆる面で成長しなければなりません。特に、愛し合うことにおいて成長し、その愛が真実の愛へと変えられる必要があります。誰でも自分の子どもは可愛いものです。少なくとも幼いうちは、思い通りになる部分もあって可愛いと感じるでしょう。しかし、そのレベルの愛と、私たちに求められている愛は全く異なるのです。ですから、愛においても私たちは成長しなければなりません。

 振り返ってみると、私はこれまで、自分の子どもを怒らせてきたことでしょう。親である自分の勝手な行為のために怒らせたこともあれば、子どもを十分に信頼していなかったために怒らせてしまったこともあります。それは、主の教育に基づく教訓ではなく、自分の考えや方法で教育していたからこそ、怒るのも無理のないことだったのです。ですから、まず大切なのは、私たち自身が「主の訓練と教訓によって育てられる」ことです。私たちの人生の結実は、どんな子どもに育てたかではなく、どんな自分に成長したかにあります。子どもがどんな優秀な学校を卒業したか、どんな立派な会社に就職したかではなく、自分自身がどれだけ成長できたかが、私たちの人生の真の結実なのです。 

“自分の子どもたち怒らせてはいけません。” 4

 使徒の働き20章28節には、パウロがエペソ教会の長老たちに語った最後のメッセージが記されています。この個所の「監督」を「父親」に、「教会」を「家族」に置き換えても、十分に意味は成立すると思います。つまり、「あなたは、自分自身と、父として立てられた家族に気を配りなさい」ということです。気を配るべき対象は、自分自身であり、父として、母として立てられた家族であり、そしてリーダーとして立てられた教会なのです。まずは、自分自身に気を配ることが大切なのです。

“あなたがたは自分自身と群れの全体に気を配りなさい。神がご自分の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、聖霊はあなたがたを群れの監督にお立てになったのです。” 使徒20:28

③ 神様の恵みを伝えることによって

 最後に、神の恵みを分かち合うことによって、子どもたちを愛することができるということです。

 さて、教会の図書棚の整理が完了し、来月から正式に図書の貸し出しを再開できることになりました。すでに半数近くの書籍が整理済みですが、残されている本もいずれも良書であり、ぜひ多くの方に手に取っていただきたいと思います。その中でも「家庭・子育て」に分類されている一冊として、ぜひおすすめしたい本があります。ジョン・M・ドレッシャー著『若い父親のための10章』(邦題)です。原題は定かではありませんが、同じ著者による『If I Were Starting My Family Again(もし家族をもう一度始めるなら)』は広く知られています。この邦題の書籍は10章からなる薄い本ですが、日本語版の目次によれば、以下のような構成になっています。

①妻をもっと愛すること
②子どもと笑い合うときを持つこと
③良き聞き手となること
④もっと正直であること
⑤家族のために祈るのをやめること
⑥家族と一緒の時間をもっと増やすこと
⑦子どもたちに励ましを与えること
⑧小さいことを大切にすること
⑨家族の一体性を大切にすること
⑩神のことをもっと語り合うこと

 補足すると、⑤は、父母が「わが子をよい子にしてください」「わが子が〜になりますように」といった祈りをよく捧げるということです。これらの祈りは、自分のことを脇に置き、子どものためだけに願う内容になりがちですが、そのような祈り方は見直す必要がある、という趣旨です。 つまり、子どものために祈ること自体を否定するのではなく、その祈り方を改めることが大切だということです。

 また、⑩の「神のことを語り合う」についてですが、ここでいう「神のこと」とは「御言葉のこと」を指します。「語り合う」とは、単に教える(ティーチングする)ことではなく、分かち合うというニュアンスです。ドレッシャー氏は次のように書いています。

「親が神のことについて語ったり、祈りについて教えるだけでは、子どもたちは本当の意味で神を知ることはできません。子どもは親の愛を通して神の愛を具体的に知るのであり、両親こそが神の愛と意志を子に伝える伝達者であると私は信じています。私の息子が小さいとき、ある嵐の夜に雷と稲妻に息子がおびえたことを思い出します。『お父さん、怖いよ』と叫ぶので、『大丈夫だよ、神様が守ってくださるから』と言いました。すると息子は、『わかっているよ、でも今手を握ってほしいんだよ』と言うのです。もしもう一度父親をやり直せるなら、子どもの手をしっかり握り、これによって神の愛と守りを示すことのできる、そんな父親になりたい』」

 ドレッシャー氏の「大丈夫だよ、神様が守ってくださるから」という言葉は、もちろん正しいかもしれません。しかし、神の愛と守りを子どもに具体的に伝えるためには、子どもの手をしっかりと握ることが何より重要です。これこそが真の父親の務めであり、もしもう一度父親をやり直せるなら、彼はそのようにしたいと強く思わされたのです。

 私たちが親として、また教会として子どもたちに伝えるべきことは、「〜しなければならない」「〜すべきである」といった義務ではありません。それ以上に大切なのは、神の愛がどれほど豊かで、神の恵みがどれほど満ちあふれているかということ、そしてこの神の愛と恵みを子どもたちと分かち合うことです。神は私たちと共におられるインマヌエルの神であり、神を礼拝することがどれほど素晴らしい特権であるか、また神の御言葉に従うことがどれほど大きな祝福をもたらすのかを、私たち自身が人として、親として、教会の一員としてしっかりと受け止め、その喜びを子どもたちと分かち合いたいのです。それは、学校のクラスや教室で行われるものではなく、私たちの愛の交わりの中でこそ分かち合うことができます。教会の歴史や組織のように形だけ受け継がれていくものではなく、この神の愛と恵みが子どもたちに伝わり、次の世代へと受け継がれていくようにと、願い、祈り続けたいと思うのです。

“…主の教育と訓戒によって育てなさい。” 4

“主を恐れることは知恵の初め、聖なる方を知ることは悟ることである。” 箴言9:10

“わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合うこと、これがわたしの戒めです。” ヨハネ15:12

Author: Paulsletter

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